2021 年 63 巻 7 号 p. 1389-1396
大腸用ステントは,本邦では2012年に保険収載され,有用な内視鏡治療法として普及している.適応は大腸の悪性狭窄であり,その目的には,緩和治療と術前狭窄解除(bridge to surgery;BTS)とがある.安全な手技のためには適応の見極めが重要であり,著者らは大腸閉塞・狭窄の評価にColoRectal Obstruction Scoring System(CROSS)を使用している.近年のステントデザインの進歩に伴い大腸ステント留置術自体は比較的安全な手技となっているが,BTSの長期予後における影響の評価が重要な研究課題である.穿孔などの留置術に伴う偶発症が長期予後にも悪影響を及ぼすため,常に安全な手技の施行を心がけるべきであり,大腸ステント安全留置のためのミニガイドラインを参考とし,外科医と連携した上で安全な治療体制を構築すべきである.