2021 年 63 巻 9 号 p. 1630-1638
消化管腫瘍に対するESDでは,粘膜下層剝離を補助するための様々なトラクション法が考案されている.食道ESDは穿孔のリスクが高い治療であり,粘膜下層の視認性を向上させ安全に治療を行うためにトラクション法が特に有効である.このトラクション法のなかで糸付きクリップトラクション法は最も簡便で使いやすい方法である.われわれは市販のデンタルフロスを牽引糸としてトラクション法を行っている.全周切開後に切除粘膜の口側を,デンタルフロスを結び付けたクリップで牽引するだけで,粘膜下層の視認性とテンションが向上し剝離を効率的に進めることができる.また,糸付きクリップトラクション法は線維化や全周性の病変などの治療困難例に対しても有効である.糸付きクリップトラクション法は食道ESDに必須の補助手法と考えられる.