日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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原著
胃癌と非癌粘膜の白色球状外観(white globe appearance)の差異に関する検討
岩室 雅也 田中 健大榮 浩行安部 真河野 吉泰神崎 洋光川野 誠司河原 祥朗岡田 裕之
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2022 年 64 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

【背景・目的】胃癌と非癌粘膜の白色球状外観(white globe appearance:WGA)の違いを明らかにする.

【方法】胃WGA症例の内視鏡所見と臨床的特徴を後ろ向きに解析した.

【結果】胃癌18例,非癌23例にWGAを認めた.胃癌症例は7例(38.9%),非癌症例は17例(73.9%)がプロトンポンプ阻害剤(proton pump inhibitor:PPI)を内服していた.病理学的には,胃癌症例(18例)のうち腺管の嚢胞状拡張は12例(66.7%),腺腔内壊死物質は12例(66.7%),壁細胞の過形成と内腔への鋸歯状の突出(parietal cell protrusion:PCP)は1例(5.6%)でみられた.一方,非癌症例のうち14例で生検が実施され,腺管の嚢胞状拡張は8例(57.1%),PCPは7例(50.0%)でみられたが,腺腔内壊死物質は指摘できなかった.非癌群において,自己免疫性胃炎を2例,内視鏡的粘膜下層剝離術後瘢痕を2例,腺腫を1例,ランタン沈着を1例,胃MALTリンパ腫を1例に認めた.

【結論】胃癌粘膜と非癌粘膜ではWGAの成因は異なり,非癌症例ではPPI服用が関与している可能性が示唆された.

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© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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