2022 年 64 巻 1 号 p. 55-60
81歳女性.血便精査目的に当科紹介受診.鉄欠乏性貧血を認めたが,造影CTおよび上下部消化管内視鏡検査では出血源を同定できなかった.カプセル内視鏡にて回腸に出血を認めた.小腸内視鏡検査では回腸に8mm大の隆起性病変を認めたが,抗血小板薬内服中であったため経過観察とした.しかし,その後も緩徐に貧血の進行を認めたため,同ポリープが出血源と考え,局注併用cold snare polypectomy(CSP)を行った.病理組織所見は,炎症性ポリープであった.その後,1年半経過したが再出血なく貧血も改善している.良性の小腸ポリープに対して局注併用CSPが有用であった症例を経験した.