B型慢性肝炎とアルコール性肝障害の57歳男性.1年半前にS3とS7の肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)をラジオ波焼灼術で治療し,経過観察のガドキセト酸ナトリウム造影MRIでS2に増大する2cmの腫瘍を認めた.早期相は濃染不明瞭で後期相は低信号を示し,HCCを疑ったが非典型的で造影USを予定した.体外式USは肺が遮るためEUSを行い,軽度低エコーの腫瘍は造影EUSで動脈優位相が濃染し後血管相がwashoutを呈し,HCCと診断した.低侵襲治療を希望したため,EUSガイドエタノール注入療法を選択して穿刺局所療法を行った.治療は合併症なく成功し,治療後1年8カ月の経過観察で局所再発は認めていない.体外式USが困難なHCCに対しEUSは診断・治療に有用である可能性がある.