2022 年 64 巻 2 号 p. 172-178
症例は86歳男性,咳嗽発熱を主訴に当院受診.精査目的に施行したCT検査にて肺炎と総胆管内に20mm程度の線状の高吸収の構造物が確認されたため精査を行った.MRI検査にて総胆管に細長い欠損像,超音波内視鏡検査にて総胆管内に高エコーの構造物を認めたため,魚骨を核とした総胆管内結石と考えた.肺炎が改善した後,親子式の経口胆道鏡を用いて詳細に観察した後愛護的に回収した.回収した異物に対する病理検査と結石分析の結果から,植物組織とそれを核にした総胆管結石と診断した.Vater乳頭に対する未処置例において植物による胆管内異物の症例は非常にまれであると考えられるため文献的考察を加えてこれを報告する.