2022 年 64 巻 3 号 p. 239-248
カプセル内視鏡は低侵襲かつ簡便に消化管精査が可能であり,小腸疾患の診断に不可欠な検査となっている.また大腸カプセル内視鏡は,大腸内視鏡が困難な患者において,大腸腫瘍のスクリーニング検査の一翼を担っている.一方で,カプセル内視鏡の読影には多くの時間を要し業務負担となっている,画像診断には習熟が必要である,読影医が不足しているといった課題がある.これらの課題の解決策として,カプセル内視鏡読影支援ネットワークやカプセル内視鏡読影支援技師制度がある.カプセル内視鏡読影支援ネットワークは,連携した検査実施施設で行ったカプセル内視鏡画像を,読影支援施設にて遠隔読影を行うシステムであり,検査実施施設での読影の業務負担軽減や診断の標準化が可能となる.読影支援施設においては,多数のカプセル内視鏡画像を正確かつ迅速に読影することが求められ,カプセル内視鏡読影支援技師を含めた効率的な読影体制の整備と読影能の向上維持のための教育体制の整備が必要不可欠となる.本稿では,カプセル内視鏡読影支援センターの現状と課題について概説する.