2022 年 64 巻 3 号 p. 262-269
症例は49歳男性.健診のFDG-PET検査で直腸に集積を認め,便潜血も陽性であり,全大腸内視鏡検査を施行した.直腸に限局する多発顆粒状粘膜を認め,病理組織では,非特異的な炎症所見であった.無症状のため経過観察していたが,5カ月後に軟便と腹痛が出現した.再度の内視鏡検査で,直腸の多発細顆粒状粘膜に加え,直腸から脾彎曲部に連続する粗造粘膜及び虫垂開口部周囲にもびらんを認めた.病理組織では,腺管密度や杯細胞の数が減少し,多彩な炎症細胞浸潤をびまん性に認め,左側大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断した.本症例は,潰瘍性大腸炎の初期病変からの悪化,口側伸展が観察された貴重な症例であり,鑑別診断を含めて報告する.