2022 年 64 巻 4 号 p. 1005-1010
症例は64歳女性.腹部症状に対して施行した上部消化管内視鏡検査にて胃穹隆部に基部に粘膜下腫瘍様隆起を伴う30mm大の発赤調の隆起性腫瘍性病変を認めた.進行胃癌の診断で胃全摘出術を施行し,病理組織学的評価で表層部に胃型粘液形質の低異型度分化型胃癌を伴う進行癌と診断した.本疾患はH. pylori未感染症例や除菌後症例で萎縮のない胃底腺領域に発生することが多い.また早期癌で発見されることが多く,一般的に予後は良好と考えられている.今回われわれは,先進部に低分化腺癌成分が混在し,特徴的な内視鏡形態を示した表層部に胃型粘液形質の低異型度分化型胃癌を伴う進行癌の症例を経験したため,内視鏡的特徴や病理学的特徴について文献的考察を加えて報告する.