2022 年 64 巻 4 号 p. 999-1004
症例は87歳男性.75歳時に逆流性食道炎に対して下部食道および胃噴門部切除,空腸間置法再建を実施.87歳時の上部消化管内視鏡検査にて,穹窿部に境界明瞭な約10mmの白色調の領域を認め,narrow-band imaging観察では白色~緑色調であり,腺管構造は不明瞭であった.生検にて胃扁平上皮化生と診断した.以後,1年毎に上部消化管内視鏡検査を施行.経過中に扁平上皮化生領域は軽度増大し,92歳時点では地図状の形態となっていた.胃扁平上皮化生が食道粘膜から非連続性に発生することはまれであるが,上記の内視鏡所見を認める場合は,本症を鑑別に挙げるべきと考えられた.