2022 年 64 巻 4 号 p. 1018-1024
孤立性胃静脈瘤(isolated gastric varices:iGV)からの出血は致死的となるため,その予防治療を行うことは非常に重要である.以前からiGVに対する内視鏡治療として,組織吸着薬(Cyanoacrylate:CA)と硬化剤(Ethanolamine oleate:EO)を併用したCA/EO法が行われているが,近年ではEUS下穿刺術を応用したコイル留置術が良好な成績をもって報告されている.本法は,EUSでiGV内腔を直接観察しながら穿刺すること,また,使用するコイルはiGV径の150%のコイルを用いること等から,安全かつ効果的な治療が可能である.われわれはコイル留置に引き続きEOの注入を行うEUS-guided coil deployment with sclerotherapy(EUS-CS)を施行し,iGVのみならず供血路の塞栓化も図っている.なお,治療に際しては各種画像診断による門脈圧亢進症の血行動態を事前に評価し,十分に理解しておくことが必要である.