2023 年 65 巻 6 号 p. 1128-1135
71歳女性.心窩部痛を主訴に受診.CTで膵体部に55mm大の腫瘤があり,悪性胆管狭窄を伴う切除不能膵癌と診断した.経乳頭的に自己拡張型金属ステントを留置したが,翌日非閉塞性胆管炎による多発肝膿瘍を発症した.経皮的膿瘍ドレナージや胆管ステント交換等を行うも,肝膿瘍は改善しなかったため,ダックビル型逆流防止弁付胆管金属ステント(duckbill-shaped anti-reflux valve:D-ARMS)を留置した.その後は軽症胆管炎を反復しながらも化学療法を継続できていたが,3カ月後にステントが胆管内へ迷入した.そこで迷入予防にD-ARMSの下端を十二指腸内腔に長く露出させて再留置すると,以降胆管炎や肝膿瘍の再発はなかった.D-ARMSは,難治性非閉塞性胆管炎に対する有効な治療の1つとなり得る.