日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
胃粘膜下腫瘍に対する内視鏡的胃全層切除術の実際(動画付き)
大木 亜津子 竹内 弘久阿部 展次
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電子付録

2023 年 65 巻 7 号 p. 1246-1254

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抄録

消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)を含む胃粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT)に対する低侵襲治療として内視鏡的胃全層切除術(endoscopic full-thickness resection:EFTR)を行ってきた.治療適応はdelleを有さない腫瘍径3cm以下の管腔内発育型SMTとしている.適応となる腫瘍の局在は,ESDの基本的な内視鏡の取り回しが可能な部位であれば技術的には可能であるが,胃壁に全層欠損(穿孔)が起こった後に,胃内腔から見ると漿膜外で裏打ち組織となる胃周囲間膜(大網や小網)のない部位では胃内から腹腔内へ脱気されてしまい,胃内の送気状態が維持できず視野確保困難となる.胃周囲間膜の裏打ちがある部位,すなわち小彎側に位置する腫瘍がEFTRの最も良い適応であり,EFTRの導入には最も適切な部位と言える.剝離を進めるうえで,腫瘍の牽引が必要となる場合がある.腫瘍自体の重さがあるために通常のESDに用いる牽引(糸付きクリップやエンドトラックなど)では不十分な場合が認められる.強力で有効な牽引を行うための工夫も供覧する.本稿では胃SMTの術前画像評価,治療適応,手技の実際,トラブルシューティング(腫瘍牽引,腹腔穿刺),周術期管理について述べる.

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© 2023 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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