2024 年 66 巻 1 号 p. 16-28
クローン病の小腸病変は容易に通過障害などを来し,手術率が高いことが知られており,そのマネジメントは重要な課題である.バルーン内視鏡のクローン病診療における役割として,従来の大腸内視鏡検査では観察不可能な部位にしか病変を持たないクローン病の診断や,小腸病変の治療効果判定やモニタリングとして内視鏡的寛解の有無の評価に有用であるとする報告がみられる.また,症候性の小腸狭窄におけるバルーン拡張術は,潰瘍が無いなどの適応基準を満たした病変においては高い手技成功率と,良好な長期成績が示されている.他の小腸評価法と比較して,検査精度が高く,組織生検・内視鏡治療が可能な唯一の検査である一方,侵襲性が高く,消化管穿孔や出血,膵炎などの偶発症が報告されている.小腸病変の評価において,バルーン内視鏡を含めた各種モダリティの中から,状況に応じてどの検査を用いていくか,議論をすすめる必要がある.