症例は64歳,男性.45歳時に潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)を発症し,58歳時からはアダリムマブにて臨床的寛解が維持されていた.定期外来受診時に胆道系酵素の異常がみられ,多発肝転移を伴う虫垂低分化腺癌と診断された.画像検査の遡及的な解析により,経過中に虫垂開口部には粘膜病変が出現していたが,組織学的な確定診断は得られなかった.UCと虫垂癌の合併は極めてまれではあるが,UCの経過中に虫垂開口部に粘膜病変がみられた場合は虫垂癌による二次的な変化や慢性虫垂炎との鑑別が重要である.鑑別ができない場合は,虫垂癌を念頭においた他の画像検査による評価や手術介入について検討が必要である.