日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
症例
EUS-FNAが診断に有用であったisolated proximal-type IgG4関連硬化性胆管炎の1例
播磨 博文森 健治作田 美穂川野 道隆花園 忠相高見 太郎
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2024 年 66 巻 2 号 p. 163-170

詳細
抄録

症例は66歳,男性.閉塞性黄疸を指摘され当科を紹介受診した.血液検査では血清IgG4値の上昇を認めた(262mg/dl).造影CTでは肝門部胆管に腫瘤像を認めた.膵腫大は認めなかった.ERCP下の経乳頭的胆管生検では腫瘍細胞を認めなかったが,IgG4免疫染色も陰性であり,確定診断に至らなかった.確定診断目的で肝門部胆管の腫瘤に対しEUS-FNAを施行した.EUS-FNAの病理組織検査ではIgG4陽性形質細胞の間質浸潤を認め,IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-related sclerosing cholangitis:IgG4-SC)の診断に至った.自己免疫性膵炎を伴わない肝門部型のIgG4-SC(isolated proximal-type IgG4-SC)は胆管癌との鑑別が困難な疾患であり,癌と診断されて外科手術が行われることもある.今回われわれはEUS-FNAが診断に有用であったisolated proximal-type IgG4-SCの1例を経験したため報告する.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top