2025 年 67 巻 11 号 p. 2344-2350
多くの大腸癌の発生には腺腫癌相関が関与しており,その前駆病変である大腸腺腫の発見と内視鏡的切除が大腸癌の発生および死亡を低減する.10mm以上の病変にはhot snare polypectomy(HSP)およびEMRが標準治療である.近年の報告によると10-19mm大の病変の浸潤癌割合は0.9%と低く,より安全性の高い手技が求められる.われわれは,HSPにおける高周波電源装置の設定に着目し,筋層への熱損傷を最小限に抑えつつ粘膜下層の切除を可能とする低出力純切開波(PureCutモード)を用いたHSP(Low-Power Pure-Cut Hot Snare Polypectomy:LPPC HSP)を開発した.動物モデルを用いた検討では,従来のHSPと比較してLPPC HSPは固有筋層への熱損傷を低減しつつ粘膜下層を厚く残しながらも全例で粘膜下層を切除した.ヒト大腸腺腫(10-14mm)に対する切除能を評価した探索的臨床試験においても100%の手技成功割合,高い一括/R0切除割合を達成しつつ有害事象は切除時出血1例(1.1%)のみであった.LPPC HSPは,HSPおよびEMRと比較し,粘膜下層の浅層を切除しながら熱損傷を抑制し,安全性を向上する可能性を有する.本手技は,特に10-14mmの大腸腺腫に対する新たな標準治療としての適応が期待される.