2025 年 67 巻 3 号 p. 199-213
Underwater EMR(UEMR)は2012年にBinmoellerらによって初めて提唱された新しい内視鏡的粘膜切除法である.今回,検索した大腸腫瘍に対するUEMRに関する英文論文119編に基づくと,10mm未満の病変に対しては従来のEMRと遜色ない治療成績が示されており,10-20mm大の病変に対してはEMRより有用性が高いという報告も見られた.特に20mm以上の病変では,その傾向がより顕著である.ESDは一括切除割合で明らかに優れているが,症例の条件によってはESDの代替となりうる.内視鏡治療後の遺残再発病変に対しては,EMRよりも良好な治療成績を示し,ESDとも比較可能である.また,直腸神経内分泌腫瘍に対してもESDより簡便で期待できるが,結紮装置併用下内視鏡的粘膜下層切除術を上回る効果は不明である.
現状では,UEMRは完全に従来の治療法に置き換わるとは言い難いが,選択肢の一つとして考慮される治療法である.今後,その真価が問われることになるであろう.