2025 年 67 巻 3 号 p. 233-239
症例は76歳,女性.CS挿入困難のため,シングルバルーンオーバーチューブを使用しESDを試みたが,S状結腸までしか挿入できず,ダブルバルーン内視鏡(double-balloon endoscope:DBE)を用いて上行結腸,横行結腸の3病変に対してESDを施行した.残存する肝彎曲部に30mm大の隆起性病変はDBEではスコープ操作性が極めて不良で,視野確保が困難でありESDを断念した.パワースパイラル内視鏡(power spiral endoscope:PSE)を用いてESDを施行したところ,スコープ硬度の影響か,DBEと比較し,S状結腸の過伸展が抑制され,スコープ先端もステッキとならず病変部にアプローチ可能であった.処置中のスコープ操作性が改善し,偶発症なく病変を一括切除可能であった.最終病理診断はwell differentiated tubular adenocarcinoma(tub1) in adenoma,pTis,Ly0,V0,HM0,VM0であった.