2025 年 67 巻 3 号 p. 240-248
ESDは早期胃癌に対する標準治療であり,技術的に成熟してきている.しかし,頻度は低いものの穿孔は主要な有害事象であり,致命的になり得る.マルチベンディングスコープは第2灣曲部のアップダウンアングルの調節により,剝離部位に近接できるだけでなく,ナイフと筋層を平行な角度に保つことで,粘膜下層剝離の安全性および剝離速度の向上に寄与する.2チャンネルスコープでもあり,切開と剝離の際の左右の鉗子チャンネルの使い分けや,吸引力を落とさずに処置を行える利点がある.本稿では,マルチベンディングスコープを用いた胃ESDの手技について解説する.