抄録
内視鏡的直視下電気凝固法を上部消化管出血29例に施行し,全例・救急止血に成功した.これらの成績により,本法の施行にあたっては,年齢,病巣局所の出血状況,全身的な合併症の有無などの因子はその適応上,余り問題にならないことが判明した.また本法による救急止血後の治療は既に提唱して来た内視鏡検査による厳重な監視体制と一定の手術適応基準により行った.その結果,重篤な全身性疾患のため,あえて内科的治療にとどまらざるを得なかった大量出血の5例のうち,2例に再出血死を,3例に永久止血を認めた.また少量出血の18例と外科的治療を行った大量出血の6例についてはその治療の経過において再出血は認めず,且つ安全に外科的治療を行うことが出来た.さらに本法の施行中に大出血を招来したが,本法による再止血に成功した2例を除き,重篤な偶発症は経験しなかった.