日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃癌の酵素学的および免疫組織学的研究(第2報)
前田 淳松野 堅赤上 晃上地 六男横山 巌山下 克子横山 泉市岡 四象
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1979 年 21 巻 12 号 p. 1437-1446_1

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抄録
胃癌の発生母地として腸上皮化生は古くより注目されている.われわれは胃癌と腸上皮化生との関連を考えるうえでDisaccharidase活性を指標として胃癌部,胃癌周囲の腸上皮化生部について胃癌を伴わない胃の腸上皮化生部のDisaccharidase活性と対比させ検討を加えた.さらに胃癌部,胃癌周囲の腸上皮化生部についてα-fetoproteinによる螢光抗体直接法により免疫組織学的検討も加えた.胃癌辺縁の腸上皮化生部では胃癌を伴わない胃の腸上皮化生部よりDisaccharidare活性は明らかに低下しており,機能的には低下していることが示唆された.螢光抗体直接法によるAFPの局在は20例中10例(50%)にみられ印環細胞癌に陽性率が高かった.AFP陽性胃癌の周囲の腸上皮化生10例中4例(40%)にAFPの局在がみられたが,AFP陰性胃癌の周囲の腸上皮化生にはAFPの局在はみられなかった.このように腸上皮化生の前癌状態としての1つの可能性の存否を酸素学的,免疫学的方法により検討を加えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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