抄録
Vibramycinカプセル4例,Vibramycin錠1例,及びDalacinカプセル1例,計6例の薬剤性食道潰瘍の臨床経過と内視鏡的特徴について検討を行なった. これら6例の薬剤性食道潰瘍はいずれも何ら狭窄のない全く正常な食道に起ったものである.4例は全く水なしにカプセルを服用し,残る2例は極く少量の水と共に服用したがすぐに就寝した.5例共に食道にひっかかった感じを自覚していること,続いて胸骨裏面の灼熱感を自覚していること,これらが薬剤性食道潰瘍の典型的な症状の経過であると思われる. 経過は順調で,自覚症状の発現から消失まで6~15日で平均8.5±3.8日であり,内視鏡所見での潰:瘍は症状発見から6~18日で平均11.3±4.2日で消失した.非常に治闘しやすいことが薬剤性食道潰瘍の特徴であると思われる.薬剤性食道潰瘍の診断は,薬剤の服用から症状の発現までの経過を聴けばまず診断は簡単である. 食道内視鏡検査は,平均4.8±2.0病日に施行し,6例全てに活動性の潰瘍を認めた.中部食道に多発する大小不同.不整形の潰瘍を認めた.Vibramycinカプセルによる食道潰瘍は特徴的で,中部食道でカプセルが停滞し,そこでカプセルが破れ,強酸の薬剤が溶け出し,飛び火状に潰瘍を作ったと考えられる. 薬剤性食道潰瘍の治癒経過は非常に速いため内視鏡検査は出来るかぎり早い方がよい