日本消化器内視鏡学会雑誌
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ERCPによる合併症としての胆道感染
久野 信義春日井 達造小栗 剛松浦 昭藤原 勝彦栗本 組子杉原 康弘
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1979 年 21 巻 7 号 p. 811-818

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抄録
ERCPの合併症の中で最も重篤なものは,胆道感染であろう.私どもでは幸い未だ致死例は認めていないが,外科的処置に委ねた1例を経験している.今回は胆道系が造影されたものに就き,造影剤に抗菌性化学療法剤(Thiamphenico1)を混入するようになる前と後との例で,自覚症状,異常検査所見の発現の差を検討した.造影剤に化学療法剤を混入するようになってからの方が,明らかにその頻度は低かった.ことに上に述べたような重篤な例は1例も認められなかった.またERCP後の胆道感染の防止には,その他に器具の消毒滅菌が必要なこと,胆管狭窄部の下流までの造影に止めること,若し上流まで造影され感染の恐れがある時は直ちに外科的処置をとること,閉塞性黄疽例ではERCP実施前に減黄処置をとっておくことなどが大切であることを述べた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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