日本消化器内視鏡学会雑誌
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高倍率拡大腹腔鏡に関する研究(第1報)―その基礎的研究―
関谷 千尋沼崎 彰矢崎 康幸高橋 篤梶 巌並木 正義
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1979 年 21 巻 7 号 p. 828-835

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抄録
われわれは腹腔鏡の診断能をより高め,肝の細かな病態を把握しようと新しく高倍率拡大腹腔鏡(100倍)を試作した.今回はまずそれを用い,ラット正常肝と四塩化炭素によるラット硬変肝についてその価値を検討してみた.このスコープによると,門脈末端枝の状態や,血液がその門脈枝より小葉内に入るところ,さらに肝細胞索の状態がよく観察でき,またそれをカラー写真におさめることができる.肝が硬変化するにつれ,門脈末端枝が肝表面に多くみられるようになるが,その多くは狭窄や中断レていたり,伸展されていた.さらに小葉内では,放射状にonecell-platesに配列していた肝細胞索は乱れはじめ,厚いcell-platesになっていた.同時に類洞も著しく減少し血流状態の悪化がみられた.以上のように,われわれが試作した高倍率のスコープは肝の細かな病態を解明するうえに有用であり,臨床面への応用も十分期待できるものと思う.(第2報として臨床の実際への応用について報告する.)
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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