抄録
前方視型細径ファイバースコープの種々の利点を損わず,かつ,細いための欠点を解消し,更に,太すぎて患者に苦痛を与えない程度の中間の太さの新しい前方視型ファイバースコープ(FG-28A)が最近アサヒ光学より開発された.われわれはこれを289例について使用した.スコープの挿入は細径スコープ同様容易で,イメージも良く,十分な大きさの生検組織片を得ることができ,記録性も比較的優れている.食道内では反転も可能で,胃内では盲点も無く,胃角正面視・幽門部小彎全域や,噴門の観察も容易である.胃体部小彎はJターンにより正面視できるが,体中・下部後壁は,やや正面視困難なため狙撃生検能は落ちる.十二指腸球部では幽門直下大彎がやや観察困難である.これらは前方視鏡に共通の欠点であろう.十二指腸下行脚の観察も容易だが,乳頭の正面視は困難なことが多く,それが可能な症例ではEPCGもできる.今後期待できるスコープである.