日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸癌の生検診断における問題点(第1報)
長谷川 かをり谷口 友章野口 友義三輪 洋子佐々木 宏晃長廻 紘
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1980 年 22 巻 1 号 p. 56-60

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抄録
1970年1月から1978年6月までに手術した大腸進行癌は327例で,術前に内視鏡生検を施行したのは179例であった.1月生検陽性率は162例(90.5%)であった.潰瘍型の癌,腸管屈曲部の癌,全周性の癌に陽性率が低かった.潰瘍型の肛門側辺縁は組織学的に,(代)癌組織が完全に非癌粘膜に被われるもの,(B)癌組織が一部露出するもの,(C)癌組織が完全に露出するもの,の3つに分類できた.これに従って16例の潰瘍型陰性例を分けると(有)が6例,(B)が4例,(C)が5例,壊死巣1例でほぼ均等に分布し(A)に陰性例が多いとはいえなかった.生検陽性率の高い腫瘤型の癌に1例陰性例があったがその肛門側辺縁はpapillary adenomaに被われ陰性となった.生検切片数をみると陰性例17例中7例が1個しか採取していなかった.以上より生検陰性例を減らすに,は少なくとも2個以上,部位を離して癌の周堤の頂上で採取することが重要と考えられた.また擦過細胞診を併用することも有用である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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