日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的膵胆管造影法におけるX線シネ撮影の有用性―その臨床的意義および研究手段としての展望―
酒井 正彦上田 俊二森安 史典岡崎 和一中村 義徳
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1980 年 22 巻 4 号 p. 480-490

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抄録
 筆者は1977年9月よりERCPのX線映像をシネ撮影,ビデオ録画しており,1979年5月までの108例を検討して有用性を認めた.後刻動的に繰り返し見なおせるため,見落しを防ぎ,肝内分枝に至るまでの詳細な検討を可能とする.瘻口の存在など変形のある症例では注入時の動きの再現は有効であり,肝内分枝への流入過程も造影剤の淡い時期から充満するまで,一本毎に充分検討出来る.このような診断上の意義は,総胆管末端部の変形に対して良悪性鑑別を含めて認められ,特に排泄時の動きの分析は乳頭の機能的状態の把握を可能とし,その研究に有効である.乳頭機能異常の経過観察は,原因疾患の治療による可逆性の検討を可能とし,現在定説のない胆道系付加手術の要否の基準を明らかとする.また付加手術の術式選択基準にも定説がなく,多くは術申所見に任されているが,術式別に術後経過を追うことにより,術前の乳頭機能の把握により術式を決定できる可能性がある.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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