日本消化器内視鏡学会雑誌
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異型上皮巣を有する胃粘膜からの胃癌発生に関する検討
三嶋 孝奥田 茂大島 明石黒 信吾谷口 春生
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1980 年 22 巻 5 号 p. 622-627_1

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抄録

内視鏡的に診断した115例の胃異型上皮症例を用いて胃癌との関連につき検討した結果以下の成績を得た.(1)14例,16病巣の胃癌併存を認めたが13病巣がu1(-)で分化型の胃癌であった.(2)101例の異型上皮患者の2ヵ月~13年3ヵ月(平均4.0年)後の胃癌罹患の実態を調査したところ9例に胃癌罹患を確認した.これは同期間中に一般人口から期待される胃癌罹患者1.64よりも有意に多く(p<0.01),異型上皮患者は胃癌へのhigh risk groupであるということができる.(3)この9例のうち詳細なデータが得られたのは7例で,6例がul(-),5例が分化型胃癌であった. 以上から胃異型上皮巣とul(-),分化型胃癌は組織発生上密接な関連を有すること,異型上皮患者をhighrisk groupとして扱うべきであるなどの結論を得た.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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