日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃癌に対する胃生検の反省,とくに偽陰性に終った胃癌の3例を中心に
前谷 昇河村 奨富士 匡清水 道彦東 光生有山 重美永富 裕二播磨 一雄川嶋 正男相部 剛小田原 満飯田 洋三竹本 忠良
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1980 年 22 巻 5 号 p. 628-632_1

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抄録

最近,山口大学第一内科関連の某医師会検査センターにおいて,初回胃生検では偽陰性であったが,2~5年後胃癌と確診された3例を経験したのでこの3例とともに,胃癌に対する胃生検の現況についても併せ報告する. 胃癌の初回胃生検での正診率は364例中94.8%で偽陰性率は5.2%であった.病型別では早期癌の正診率は107例中96.3%で偽陰性率は3.7%,進行癌の正診率は94.2%,偽陰性率は5.8%であった.偽陰性例のうち形態別ではBorrmann 4型がもっとも多く.次いでBorrmann 3型であった. 見逃し例が生じる原因としては,胃癌の粘膜下侵潤や技術ミス等が推定されたが,さらに重要なことは検査センターのような施設では,再検査や経過観察が十分にできないことがもっとも大きな理由と考えられた.また,胃生検への過信がその1因ともなっており反省するとともに一つの警鐘としたい.

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