日本消化器内視鏡学会雑誌
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広節裂頭条虫症のX線および内視鏡診断
―その小腸X線像と内視鏡所見の考察―
矢崎 康幸石橋 勝岡村 毅与志柴田 好富永 吉春関谷 千尋並木 正義
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1980 年 22 巻 5 号 p. 635-641

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抄録

広節裂頭条虫症8例につき小腸X線検査および小腸,大腸内視鏡検査を行い,その結果について検討した.腸管内の広節裂頭条虫(特に成熟体節)は小腸X線検査にて明瞭に描写される.この際,圧迫法が有用であるが,小腸の同一部位を少なくとも10秒ほど強く圧迫することが必要である.このようにして広節裂頭条虫の頭節が中部空腸に付着しているのを2例に証明し得た,また,描写された成熟体節幅の検討により本条虫は一般に考えられているよりは,かなり短い状態でヒトの小腸内に寄生していることがわかった.小腸内視鏡検査では小腸ファイパースコープをTreitz靱帯より30~60cm肛側まで挿入したが,小腸内の本条虫を観察することは出来なかった.排虫を訴えた1例では大腸内視鏡検査で大腸内の成熟体節を観察することが出来,内視鏡的にも体節の性状より本条虫と同定することが可能であった.小腸粘膜の生検組織所見では,特記すべき異常は認められなかった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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