日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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小腸絨毛の内視鏡的拡大観察の試み
多田 正大陶山 芳一清水 忠雄藤井 浩三好 正人西村 伸治西谷 定一鹿嶽 研下野 道広赤坂 裕三川井 啓市
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1980 年 22 巻 5 号 p. 647-654

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抄録

生体における小腸粘膜の微細所見を観察する目的で,拡大fiberscope(SIF-M,CF-HM)を用いて,絨毛の拡大観察を行った・全小腸の拡大観察を行う場合にはSIF-Mを用い,回腸の観察のためにはCF-HMを用いた.Rope-way方式によって経肛門的にスコープを小腸内へ挿入した.通常の内視鏡観察ののち,0.1~0.2%のMethylene blueを少量,直接に小腸粘膜に散布し,絨毛を生体染色することによって絨毛形態を明瞭に識別できるようになった. 健常粘膜では指状絨毛が密に,規則正しく配列していた.腸結核,Crohn病,急性回腸終末部炎では炎症の程度に応じて,絨毛は不規則な指状,葉状,尾根状を呈し,配列も不規則であった. 拡大fiberscopeによる小腸絨毛形態の観察法は,小腸の消化吸収機能と絨毛の微細形態との関連性を知るうえに有用な方法になることが期待される.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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