日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡の消毒に関する研究
神木 照雄奥田 茂
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1980 年 22 巻 5 号 p. 663-676

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抄録

大阪の4病院を対象に,胃ファイバースコープの検査後の付着菌数を調査したが,その汚染はかなり激しいことが判明した. 著者らの調査によれぽ,検査後の付着菌数は10~10であり,洗浄後の内視鏡への付着菌数は10~10であった.また室温で一夜放置すれば10に増加していることも判明した.著者らはそこで,簡単で効力のある方法としてグルタルァルデヒド(ステリハイド)を用いて消毒する方法を考案した.この方法では内視鏡の付着菌数は10レベルまでに減少することを確認した.同時にこの方法で大腸ファイバ.一スコープおよび気管支ファイバースコープを消毒し,グルタルァルデヒドの残留量についても測定した.それぞれのスコープにおけるグルタルアルデヒドの残留は2.1mgおよび0.02mgであり,グルタルァルデヒド消毒を行なった後の内視鏡は人体に対し安全であると思われる. 以上の結果から著者らは内視鏡消毒の基準について提案したいと考える.即ち,内視鏡消毒後の付着菌数は10以下で,緑膿菌,大腸菌を認めないこと,およびHBs Antigenの測定の代りとして内視鏡洗浄液について潜血反応が陰性であることである.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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