日本消化器内視鏡学会雑誌
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一地域住民の慢性胃炎の実態 腸上皮化生について
山川 博石舘 卓三増田 久之井上 修一荒川 弘道久保 信之向島 偕井上 義朗佐藤 誠佐藤 家隆
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1980 年 22 巻 5 号 p. 677-685_1

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抄録

胃粘膜病変がどのような環境因子に関連して発生進行するかを明らかにし,さらに胃癌と慢性胃炎との関連を解明する目的で疫学的調査と平行して,8点法胃生検を施行し,一地域住民の慢性胃炎,とくに腸上皮化生の状態を比較検討し,以下のような成績をえた.従来の手術胃,剖検胃を材料として検索されてきた多くのデータによれぽ,腸上皮化生が加齢現象として捉えられ,加齢とともに進行するものとされているが,著者らのMass-Surveyの中での成績では・男女でその増減のパタ一ンを異にし,とくに男子では50歳代をピークとして,それ以後の年齢層で腸上皮化生群の減少をみる.このことから,腸上皮化生が単なる加齢現象として捉えるには問題があり,環境因子などにある程度支配され,さらに検索の必要性はあるが,可逆性病変である可能性をも推測した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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