抄録
近年多くのすぐれた拡大内視鏡が開発され生体内における微細胃粘膜模様を観察する事が可能となってきた.その結果,胃潰瘍辺縁の再生粘膜模様についても実体顕微鏡との併用にて種々さまざまな粘膜模様のあることが判明してきている.今回,筆者は新たに開発されたオリンパス製拡大ファイバー一スコープGIF-HM(拡大率:最大35倍)を主に,また一部GIF-D3(拡大率:最大8倍)を用いて個々の胃潰瘍の辺縁再生粘膜像の経時的変化を追跡観察し,臨床経過とあわせて検討した.その結果,拡大内視鏡観察にてえられる潰瘍辺縁の再生粘膜像からその治癒過程,すなわち易治性か難治性かについてある程度予測できる成績をえた.また,さらに再燃前の再生修復粘膜像の拡大内視鏡的特徴,および潰瘍辺縁の各種再生粘膜模様を生検標本にて詳細な組織学的検索も行なった.