日本消化器内視鏡学会雑誌
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直腸粘膜微細病変の拡大内視鏡観察を試みたクローン病の一例
牧山 和也橘川 桂三原口 増穂福田 博英森 理比古冨田 伸一村上 一生原 耕平
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1981 年 23 巻 11 号 p. 1578-1584_1

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抄録
21歳の男性で,回腸・結腸クローン病の一例を経験した.非切除例で,診断はレントゲン検査と内視鏡検査,生検にてなされた. クローン病において直腸病変を合併することは非常にまれとされているが,aphthoid ulcerなどしばしば微小な病変を認めたり,正常直腸粘膜の生検組織中にmicrogranulomaを発見したりすることがある.今回,われわれはクローン病における直腸粘膜の微細な変化を詳しく調べるために,本症例において,普通拡大内視鏡検査とさらに0.2% methylene blue撒布後の拡大内視鏡検査を行い,詳細に直腸粘膜を観察したところ,aphthoid ulcer辺縁の発赤の血管増生所見や数個のpapillaとpitがくずれたいわゆるpapillaの虫喰い像所見を指摘できた.この部の鉗子生検標本の連続切片による探索で,組織学的にmicrogranulomaを認めたため,クローン病に特有な所見なのかなど,その病態とのかかわりについて考察した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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