日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的ポリペクトミーにて摘除した巨大な十二指腸腺腫の1例
原口 増穂牧山 和也橘川 桂三小森 宗治井手 節福田 博英森 理比古村上 一生今村 和之田中 義人中村 憲章原 耕平久保 謹平
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1981 年 23 巻 2 号 p. 334-339_1

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抄録
近年消化器内視鏡検査の進歩によって,内視鏡的ポリペクトミーが急速な勢いで普及しているが,それに伴って,胃や大腸と同様に,十二指腸における隆起性病変に対しても内視鏡的ポリペクトミーが試みられるようになった.今回われわれは,上腹部痛を主訴として来院した患者に,上部消化管X線検査で十二指腸下行脚に隆起性病変を認め,内視鏡的ポリペクトミーにて摘除し得た1例を経験した.摘除した腫瘤は,大きさは26×25×9mmの山田IV型のポリープ,組織学的には腺管腺腫であった. 十二指腸における隆起性病変を内視鏡的にポリペクトミーした症例が本邦においても報告されるようになったので,ポリペクトミーの意義と適応などについても文献的考察を行った.十二指腸においても,胃や大腸と同様に,内視鏡的ポリペクトミーは,完全生検と治療の両面で意義があり,極めて有用で積極的に行っても良いと考えられた.しかし早期癌や粘膜下腫瘍の場合や,合併症,回収の面において,なお幾つかの問題点があることを指摘した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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