抄録
悪性サイクルの3年以上の長期観察例は極めて少い.またその経過中3回も治癒再発をくり返した症例も極めて稀である.特にProspectiveに生検をくり返した例は最近数例が報告されているにすぎない.著者は胃角小彎に生じた良性と思われる潰瘍を内視鏡的に生検をくり返して経過を追跡し,3年後生検(+)となった症例について,その内視鏡的所見を検討した.その結果最初に潰瘍を発見してから4ヵ月後に出現した浅い潰瘍面における再生粘膜島は既に悪性であるか,または将来悪性化する可能性が大であることを示す重要な所見と考えられる.胃癌の発生経過は数年を要するものと考えられ,生検(一)の数年間に出現する悪性化を示す所見は臨床的に重要なものと考えられる.