抄録
われわれは,アサヒ光学社製前方直視型ファイバースコープFG 28 Aを,出張胃集団検診精密検査205例と,ルーチン検査86例に用い,その有用性について検討した. 逐年胃集検の場においては内視鏡機器の機能とくにその挿入性,観察能,記録性の良し悪しは集検成功に重要なポイントとなる.この機種の挿入は容易であり,観察能も他の直視型ファイバースコープと同様体下部後壁の正面視は困難な例を見るものの,食道や十二指腸における反転観察も容易であり,上部消化管はほぼ万遍なく観察できる.記録性も良好であり76°の視野全体が充分に読影可能である.生検能は正面視困難な体下部ではやや問題が残る.