抄録
antibiotic-associated colitisの治癒経過を色素散布法を用いて拡大内視鏡下に観察し,通常の観察では識別し難い粘膜の微細変化を検討した.著者らの診断したantibiotic-associated colitisはアフター様大腸炎3例と偽膜性大腸炎1例とからなる.アフター様大腸炎は,急性期にはたこいぼ様の隆起性変化を示すが次第に平低化し,治癒期には粘膜に散在性の小陥凹が認められる.拡大内視鏡像では,全経過を通じて腺窩の大小不同性は認められなかった.一方,偽膜性大腸炎の治癒期には,散在性の小隆起が認められ,隆起表面の腺窩の大小不同性と明らかな配列の乱れなどの再生性粘膜の所見が認められた.antibiotic-associated colitisの治癒後にみられたこのような粘膜の微細変化は,潰瘍性大腸炎等他の炎症性腸疾患の寛解期にもみられることがあり・更に検討する必要があると考えられた.