抄録
内視鏡的コンゴーレッド法を用い,鈴木らの分類に準じた噴門部コンゴーレッドパターン閉鎖型IおよびII型の38症例を対象とし,食湖接合部近傍小彎線上の生検組織学的解析を行ない,噴門部胃炎の拡がりにともなう噴門腺の動態を検討した. 組織学的所見とコンゴーレッド法は良き相関を示し,酸分泌のみられないコンゴーレッド不変域は,主として萎縮した胃底腺で構成され,年齢の増加にともないこの不変域は拡大し,I型からII型へ移行してゆくことが認められた.このことは,噴門部萎縮性胃炎が下方へ拡大してゆくというこれまでの説を支持するものであった. 生検組織中の噴門腺出現頻度は,食道胃接合部直下で,亜型50%,I型13・3%と明らかに五型の方が高かった.さらに興味深い点は,噴門腺がII型のコンゴーレッド変色境界で22.2%認められたことであった. 以上の事実は,噴門部胃底腺萎縮進行過程で,噴門腺領域の拡大がおこることを暗示するものであろう.