日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
噴門部胃炎の内視鏡学的検討
-とくに噴門腺との関連において-
後藤 一紀飯田 洋三佐高 真理雄天野 秀雄東 光生斉藤 満永富 裕二多田 正弘原田 元榊 信広小田原 満岡崎 幸紀竹本 忠良
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 23 巻 3 号 p. 400-407

詳細
抄録
内視鏡的コンゴーレッド法を用い,鈴木らの分類に準じた噴門部コンゴーレッドパターン閉鎖型IおよびII型の38症例を対象とし,食湖接合部近傍小彎線上の生検組織学的解析を行ない,噴門部胃炎の拡がりにともなう噴門腺の動態を検討した. 組織学的所見とコンゴーレッド法は良き相関を示し,酸分泌のみられないコンゴーレッド不変域は,主として萎縮した胃底腺で構成され,年齢の増加にともないこの不変域は拡大し,I型からII型へ移行してゆくことが認められた.このことは,噴門部萎縮性胃炎が下方へ拡大してゆくというこれまでの説を支持するものであった. 生検組織中の噴門腺出現頻度は,食道胃接合部直下で,亜型50%,I型13・3%と明らかに五型の方が高かった.さらに興味深い点は,噴門腺がII型のコンゴーレッド変色境界で22.2%認められたことであった. 以上の事実は,噴門部胃底腺萎縮進行過程で,噴門腺領域の拡大がおこることを暗示するものであろう.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top