日本消化器内視鏡学会雑誌
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Indomethacin坐薬による胃病変の内視鏡的検討
前田 淳三輪 洋子赤上 晃上地 六男勝 健一山下 克子市岡 四象横山 泉飯田 龍一御子柴 幸男
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1981 年 23 巻 3 号 p. 408-414_1

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抄録
Indomethacin坐薬が関与したと思われる胃潰瘍について報告する.症例は男性4例・女性2例の計6例であり平均年齢は68歳で高齢者に多かった。基礎疾患は関節リウマチ,腰痛症,感冒による発熱であり主訴は全例とも吐血であった.投与日数は早いものでは挿入後10時間後に発生したが平均して2~3日後に発生するものが多かった.本坐薬による胃潰瘍の内視鏡的特徴は形態は類円形,不整形・帯状を呈し発生部位は胃角部と胃体部であった.いずれも1ヵ月から3ヵ月間で内科的に治癒しており急性胃潰瘍の特徴を有していた.近年,胃粘膜関門におけるProstaglandinの役割が注目されている.また非ステロイド系消炎剤はProstaglandinの生成を抑制し胃粘膜障害をおこすといわれている.Indomethacin坐薬による胃潰瘍の発生にもProstaglandinが関与しているものと思われる.今後,薬剤性胃潰瘍の発生要因解明においてProstaglandinとのかかわり合いが注目されると思われる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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