日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃原発の早期悪性リンパ腫ならびにLymphoid Hyperplasia に関する研究
―肉眼分類と鑑別診断を中心に―
川口 新平中沢 三郎
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1981 年 23 巻 4 号 p. 471-485

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抄録
胃原発の早期悪性リンパ腫ならびにLymphoid Hyperplasia (LH)の形態的特徴,特に悪性リンパ腫の早期診断を追求する目的で,LH21例,悪性リンパ腫40例の肉眼所見ならびにX線,内視鏡所見にっき対比検討した.1)LHを5型,早期悪性リンパ腫を6型に対比分類した.各型については両者に幾つかの相異点がみられ,術前診断に有用であると考えられた.2)LHと早期悪性リンパ腫の初期像の共通点は多発の不整形陥凹,大小不同の表面平滑な顆粒像であり,陥凹の大きいもの,陥凹周堤が目立つものおよび肥厚が著明なものは悪性リンパ腫の可能性が高かった.3)経過観察例は両者とも初回は多発潰瘍びらんであり,その後軽快,増悪を反復した.しかし悪性リンパ腫は比較的短期間に著明な増悪を示すものが多かった.4)胃生検は両者とも診断率が低いが,悪性リンパ腫は生検回数と診断能の向上に相関を認めた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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