日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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表面平坦型早期胃癌IIbの内視鏡診断の実態と対策
― Congo red-methylenebluetestによる成績を中心として―
竜田 正晴奥田 茂谷口 春生
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1981 年 23 巻 4 号 p. 487-496_1

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抄録
平担型早期胃癌IIbの内視鏡診断の実態を分析するとともに,当センターにて開発されたCongo red.methylene bluetestによるIIbの診断成績について検討した. 当センターでは多発胃癌症例の副病変をも含めて,これまでに92症例,103病変(典型33病変,随伴40病変,類似30病変)のIIbを経験している.随伴・類似IIb,1cm以上のIIb,単発IIbでは術前に「癌」と確診されたものが多いが,典型IIb,1cm以下のIIb,副病変としてのIIbの内視鏡診断成績は著しく不良である.内視鏡的には粘膜の退色,アレア像の異常など慎重に撮影し読影しなければ見逃されてしまう様な軽微な所見を示めすものが多く,病巣部が確実に撮影されているにもかかわらずretrospectiveにみても異常所見を指摘できないものも少なくない. われわれの開発したCongored-methylene blue testでは胃粘膜表面の微細観察,腸上皮化生の分布,体部胃炎の拡がり,酸分泌領域の観察が一回の検査で可能である.本法によりIIbの診断成績は著しく向上し,従来困難であった1cm以下の典型IIb2例を術前に診断することができた.IIbの多くは本法ではCongo red, Meth ylene blue色素がいずれも白く退色する領域として観察できた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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