抄録
食道静脈瘤を有する患者は,静脈瘤だけでなくしばしば合併するといわれる胃炎,胃潰瘍よりの出血の危険にさらされている.今回はこうした病態を考える上で重要と思われる胃血行動態について検討した.測定方法はわれわれの考按した内視鏡的水素クリアランス式血流測定法を用い,測定部位は胃体上部後壁側大彎を選んだ.対象は正常コントロール23例,食道静脈瘤患者33例(肝硬変26例,ヘバトーマ5例,特発性門脈圧亢進症2例)で以下の結論を得た.(1)胃体上部血流量は,正常者群で62.4±13.5ml/min/100g,食道静脈瘤患者群で89.4±28.9ml/min/100gと有意(p<0.001)に後者の方が多かった.(2)これは年齢別に比較検討しても食道静脈瘤患者の方が胃体上部血流量はコントロール群より多い態度が示された.(3)静脈瘤患者の中でも胃体部に発赤がないものとあるものとでは,発赤を有する症例の方が体上部血流量は多かった.