抄録
高周波電流による内視鏡的ポリペクトミーにおける大出血や穿孔を防止する目的でポリープの基部に2本のスネァーをセットしてポリペクトミーを行なう方法を考案した.この方法はあらかじめビニールで絶縁処置を施したスネァーをセットし絞扼することによってポリープの血流を遮断する.つぎに電気メスとして使うスネアーをセットし,Figure2のように2本のスネァーをほぼ平行にセットしてポリペクトミーする方法である.1975年以降これまでに37例41個に本法をおこない7例の大出血を回避しえた.われわれはとくに大出血の危険の高い最大径15mm以上の0リープのポリペクトミーに本法を用いている.高周波電流によるポリペクトミーにおける偶発症のうち回避すべき大出血や穿孔を防止するのにきわめて有用と考えられた.本法を用いるようになってから大出血例は皆無となり,高周波ポリペクトミーにおける大きさの適応制限はほとんどなくなった.今後,とくに穿孔の危険のある大腸のポリペクトミーにおいて穿孔を防止するのにも有用と考えられたので報告した.