抄録
十二指腸球部のほぼ全域にわたる広範囲な白苔をもった潰瘍を"panbulbar ulcer"と呼称し,該当する症例を整理検討してみた.このような潰瘍は,2っの型にわけられ,第1の型としては,慢性十二指腸潰瘍で増悪をくりかえしたと思われる3症例である.レントゲン的には,球部虜の状態であり,内視鏡的には恒存性に自苔が観察された.第2の型としては,薄くて広い白苔をもった急性十二指腸潰瘍といえる1例を経験した.X線的には球部の変形が軽度で第1の型とは異っていた. このように"panbulbar ulcer"のうち,とくに第1の型にぞくする球部綴を示す症例でも,細径直視型内視鏡による観察は有用であり,手術の適応を決めるために胃X線とともに,内視鏡検査が非常に重要な手技であると考える.