抄録
近年,胃原発性の悪性リンパ腫の報告が多くみられるようになった.しかし,早期胃癌の定義に準じたいわゆる早期の悪性リンパ腫の報告はまだ少ない.今回著者らは,5年間臨床経過を観察しえた広範な胃Reactive lymphoreticular hyperplasia(以後胃R.L.H.)にいわゆる早期の胃細網肉腫が合併した興味ある症例を経験した. 症例は61歳の男性で,胃X線および内視鏡検査で,幽門前庭部の粘膜に発赤と腫脹がみられ,約4年半にわたりびらん性胃炎として経過観察中,生検組織像よりR.L.H.を疑った.その後,幽門輪の口側小彎に強いタコイボ状の陸起とその表面に浅い不整形の潰瘍が形成され,3ヵ月後潰瘍はさらに増大し,悪性なものを疑い手術を施行した.組織像では,幽門前庭部に広範なR.L.H.があり,幽門輪と接してUlIIIの潰瘍の形成がみられた.潰瘍辺縁の粘膜下層および粘膜固有層に,一部R.L.H.と重なりあって境界不明瞭な小結節状の細網肉腫の形成がみられた.