日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
特異な形態を示した胃平滑筋腫の一例
北川 隆佐藤 信司柴田 好林 英樹原田 一道水島 和雄並木 正義
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 24 巻 11 号 p. 1721-1726_1

詳細
抄録

 胃から食道へまたがる特異な形態を示した胃平滑筋腫の一例を経験したので報告した.症例は36歳の男性で,咽頭部不快感を主訴として近医を受診し,食道・胃のX線検査で食道下部の異常を指摘され,当科において精査を行った.その結果,X線検査および内視鏡検査で,食道下部にBridging foldを伴った表面平滑なポリープ様の突出した隆起性病変を,また,食道・胃接合部直下にBridging foldを伴い,全体に凹凸を呈する大きな隆起性病変を認めた.食道下部の腫瘤は索状となって胃内に入り込んでいた.食道から胃にまたがる巨大な粘膜下腫瘍と診断し,大きさ,形より肉腫を強く疑い手術を施行した.切除標本では食道下部から,食道・胃接合部下方に続く表面凹凸を示す巨大な腫瘤を認め,漿膜側にも一部腫瘤が突出していた.組織学的に平滑筋腫と診断した.なおこの腫瘍は噴門部で最も固有筋層が消失し,漿膜下組織に腫瘍組織の拡がりをみることから,噴門部原発と考えた.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top