日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
胃隆起性病変に対する内視鏡的YAGレーザー治療の臨床検討
久山 泰林 正孝大草 敏史西浦 政代玉城 信明別所 博子中村 理恵子岡田 弘岡本 真郎桃井 宏直
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 24 巻 6 号 p. 894-901

詳細
抄録
最近,レーザー内視鏡の基礎的研究,および臨床への応用が注目され,消化管出血に対する止血効果は勿論のこと,胃隆起性病変に対する治療効果に関しても報告がなされている.われわれも従来は高周波ポリペクトミーを施行していたが,1980年11月より,早期胃癌2例,胃adenoma 1例と胃ポリープ24例の計27例の隆起性病変に対して,YAGレーザー治療を試みた.レーザーはフランスALM社製,YAG Medical 100を使用した.本治療法による偶発症は一例も経験していない.レーザー内視鏡治療の利点は止血対策をしながら必要に応じて何度でも追加治療ができる点であるが,反面,ポリープにおいては茎が太いもの,大きいものでは切断,焼灼に時間がかかり,高周波ポリペクトミーの方が簡単であると考えられる.したがってポリープのうち小ポリープや,その多発例がレーザー治療の適応と考えられる.早期胃癌の1例は手術拒否例であり,レーザー治療後の生検も3カ月経過後も陰性であり,さらに経過観察中である.早期癌においては,何らかの併存疾患による手術不能例や,拒否例では,今後レーザー治療が有効な治療法と考えられる.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top